高齢な入院患者さんの特徴として、複数の疾患に罹患し、それらが慢性疾患である場合が多いことが挙げられます。各々の疾患への対処療法が行なわれるため、どうしても多剤併用となりがちです。薬物動態の加齢変化により薬物有害事象の発生リスクも高いといえます。
こうした特徴を理解した上で、薬物療法モニタリングと評価には、薬物血中濃度測定や代謝・排泄機能の検査等を定期的に行なうことが求められます。
当薬剤部では、プロトコールに基づく薬物治療管理(Protocol-Based Pharmacotherapy Management、PBPM)を念頭に、全入院期間を通して、最適な用法用量を提案し、処方設計に貢献しています。
注射薬の混合調整を、薬局内のクリーンベンチで実施しています。
当日オーダー分を含め、IVH(中心静脈栄養)から末梢投与まで、すべての注射薬を混合調整しており、外来・病棟で看護師がミキシングを行なうことはありません。
これにより、配合変化への対応、看護師の業務軽減、また、すべての注射薬を無菌的に調整することにより感染予防に貢献しています。
【 月別注射薬混合調製件数 】
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 月平均 | ||
2013年度 | TPN件数 | 530 | 523 | 527 | 580 | 544 | 656 | 649 | 701 | 668 | 706 | 646 | 623 | 613 |
末梢件数 | 2,110 | 2,294 | 1,948 | 2,683 | 2,530 | 2,192 | 1,819 | 1,770 | 2,739 | 1,882 | 1,764 | 2,120 | 2,154 | |
2014年度 | TPN件数 | 535 | 551 | 493 | 625 | 633 | 712 | 661 | 562 | 585 | 616 | 627 | 662 | 605 |
末梢件数 | 1,793 | 1,719 | 1,841 | 2,090 | 2,547 | 2,403 | 2,033 | 2,060 | 2,350 | 2,590 | 1,998 | 1,954 | 2,115 | |
2015年度 | TPN件数 | 749 | 779 | 898 | 913 | 823 | 839 | 781 | 807 | 781 | 812 | 757 | 808 | 812 |
末梢件数 | 2,228 | 2,300 | 2,949 | 2,884 | 2,952 | 2,382 | 2,310 | 2,657 | 2,438 | 2,119 | 1,984 | 1,753 | 2,413 |
内服薬自己管理が困難な患者さんが多いため、内服薬はすべて一包化して、薬包に患者氏名、与薬月日、服用時(朝昼夕等)を印字しています。また、薬包に患者ID、服用年月日及び時刻をバーコード化して印字し、看護師が与薬の際に、患者さん着用のリストバンドと照合するため、患者誤認や服用時刻が異なる薬剤を与薬してしまうアクシデントを防止し医療安全に貢献しています。
また、バーコードリーダーの無線機能により、電子カルテへの与薬の記録も自動で行なわれます。内服薬のバーコードを利用した与薬確認の取り組みは、全国的にもめずらしいケースといえます。
薬の効き目や服用方法の説明、薬の飲み合わせによる相互作用や副作用の確認など、個々の患者さんに合わせた服薬指導を行なっています。
また、カンファレンスを通じて、ご家族への薬剤情報提供を実践しています。
病棟専任薬剤師をすべての病棟に配置し、2012年5月に病棟薬剤業務実施加算の施設基準が受理されました。
特に積極的に取り組んでいる病棟薬剤業務として、薬物療法を行なう上で必要な薬物血中濃度測定や、薬剤の代謝・排泄機能を把握するために必要な血液検査等について、事前に作成・合意されたプロトコールに基づき薬剤師がオーダーしていることが上げられます。
これは、2010年に発せられた厚生労働省医政局長通知(下記、枠内に抜粋)によります。
医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について(医政発0430第1号・2010年4月30日)
「薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査オーダについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること」
検査結果による薬物療法評価、速やかな処方提案が直線的に結び付けられ、医師業務の負担軽減と、薬物療法の質向上に寄与しています。
【月別薬剤師による検査オーダー件数 】
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 月平均 | |
2013年度 | 152 | 153 | 147 | 143 | 128 | 119 | 136 | 136 | 109 | 173 | 150 | 173 | 143 |
2014年度 | 193 | 169 | 181 | 180 | 162 | 171 | 166 | 140 | 131 | 176 | 152 | 137 | 163 |
2015年度 | 108 | 149 | 150 | 143 | 161 | 161 | 122 | 160 | 119 | 144 | 113 | 122 | 138 |
希望する学会に所属し、継続した専門分野の知識の吸収と、専門薬剤師の認定取得を推奨しています。
現在、常勤薬剤師は下記学会のいずれかに所属し、学術大会等へ参加しています。
・日本老年医学会 | ・日本緩和医療学会 | ・日本化学療法学会 |
・日本静脈経腸栄養学会 | ・日本医療薬学会 | ・日本医療情報学会 |
・日本医薬品情報学会 | ・日本腎臓病薬物療法学会 | ・日本くすりと糖尿病学会 |
【 院外での研究発表等 】
2013年度 | |
日本病院薬剤師会・関東ブロック第43回学術大会 | Microsoft Office Excelを用いた医薬品問合記録システムの構築 |
第23回日本医療薬学会 | 病棟薬剤師による検査オーダーと薬物療法評価 |
第52回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会 中国四国支部学術大会 | 病棟薬剤業務の実践とチーム医療への貢献における薬学ケアの推進 |
第21回日本慢性期医療学会 | 療養病床での病棟薬剤業務への取り組み |
2014年度 | |
日本病院薬剤師会・関東ブロック第44回学術大会 | 高齢者への薬物療法支援~糖尿病療養指導士の立場から~ |
第1回日本医療安全学会学術総会 | 療養病床における医薬品安全管理 |
第24回日本医療薬学会年会 | 薬物療法プロトコルに基づいた病棟薬剤師による検査オーダーの実施 |
第3回日本くすりと糖尿病学会学術集会 | 高齢者における持効型インスリン製剤の切り替えによる血統変動の評価 |
第22回日本慢性期医療学会 | 病棟薬剤業務を通しての医療安全への貢献~高齢骨折既往患者への薬学的ケア~ |
2015年度 | |
日本病院薬剤師会 東北ブロック第5回学術大会 | プロトコールに基づいた薬剤師による検査オーダー |
日本病院薬剤師会 関東ブロック第45回学術大会 | 療養病床における入院前から入院時の関わり |
プロトコールに基づいた病棟薬剤師による検査オーダーと処方提案 | |
千葉県慢性期医療協会・第2回研究会 | 腎機能評価に基づく薬剤選択について |
第23回日本慢性期医療学会 | 療養病床での、がん緩和ケアについて調査報告 |
第9回日本腎臓病薬物療法学会学術集会 | 療養病床におけるシスタチンCを用いた腎機能評価 |
第25回日本医療薬学会年会 | 療養病棟における病棟薬剤業務のアウトカム |
ホスペックス2015 日本慢性期医療協会セミナー | 「美味しい食事を楽しむために知っておきたい味覚障害と薬のかかわり」 |
Copyright(C) Seikeikai,inc. All rights reserved.